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「…やっぱ。来てよかった」
「…え?」
「緊張…かなりほぐれました…」
越石くんはまた大きく息を吐き出す。
「…高遠さんのとこに来たら、なんか、俺の背中押してくれる気がしたんですよ」
越石くんの緊張した顔が崩れる。
越石くんが…
…私に笑う。
胸の奥が……熱い。
「…あ、だから…室井さんじゃだめなんだ?」
私は声を潜(ヒソ)めた。
「彼女と話したら…もっと緊張しちゃうもんね」
意識している彼女…。
意識していない…私。
二人の差はこんなにも明確だ。
「そういう意味じゃ…」
彼は無意識にか横目で経理室を見た。
けれど、すぐにその視線を私に戻し、そして逸らす。
「ここのところ…高遠さんに…会ってなかったから」
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