夏の入り口

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言葉が出なかった。 越石くんにわからないように、胸の奥だけがじわりと熱かったはずなのに それが顔に伝染する。 顔の中心から熱が広がって、耳先まで熱い。 彼がどんな意味でそう言っているのかわからない。 ただ… うれしくて、 切なくて。 深い意味はないんだと、 自分に必死に言い聞かせる。 「…ホント。実行委員長なのに任せっきりで…。この件が終わったら、しっかりやってもらうからね」 「…高遠さん、さっきと言ってること違うし。さっきは忙しいのわかってるって…」 「…そうだった?」 …でも 越石くんこそ… 言ってることがメチャクチャよ。 メチャクチャに… 私の心を掻き乱すよ。
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