夏の入り口

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もうすぐ、休憩が終わって残業時間に入る。 少しの沈黙が広がる私と越石くんの間に 隣から室井さんの声が小さく届いた。 「…室井さんに声、掛けていかなくていいの? そしたら、明日、頑張れるかもよ?」 「…いえ、彼女にはさっき『頑張って』って、言ってもらいましたから」 「…そうなの?」 室井さんがわざわざ? 「あ、あの、室井さん、さっき、成瀬さんのところに明日の打合せで来てて…俺はおまけです」 「…そっか。でもよかったね」 「…はい」 「さ、もう行った方がいいんじゃない? 最後の準備があるでしょう? 私ももう帰るから」 「あ、はい。お疲れさまでした」 「…うん。お疲れさま」
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