お目付け役

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ミーティングの内容はだいぶ進み、やっと具体的になってきた。 連休が明ければ残暑会も間近となる。 例年の会議の議事録と照らし合わせても少し遅れを感じた。 ミーティングの途中、みんなが雑談のように意見を交換し始めたのを見計らって、私は越石くんを呼んだ。 彼が席を立って私のところに来る。 それを前田さんが視線で追っていた。 「見て、去年の議事録。7回目の会でここまで具体的に決まってる。もう少しペースを上げないとマズいかもしれない」 私は資料を示して彼に言った。 「そっか…」 「今日はもうすぐ時間になっちゃうけど、発注個数くらいまでは決めたら? それが決まれば後は発注先くらいは私が調べるから」 「わかりました。俺は大丈夫だけど、仕事優先にしてもらって残れる奴だけで何とか決めます」 「うん、そうし…」 …よう。 私が資料から視線を上げて彼を見上げると、彼の肩越しに前田さんが映り込む。
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