お目付け役

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◆◆◆ 高遠さんは強張った顔で出て行ってしまった。 すると、委員の一人が言った。 「ひでえ言い方。俺たち、高遠さんがいなきゃ何にも出来ねえのにそんな言い方、同じ委員としてマジで彼女に悪いことした気分」 そう言ったのは書記の吉野だった。 このミーティングでも積極的に意見を言う方ではなかったから、正直驚いた。 「とにかく、ちゃんと彼女に報告できるように始めようぜ。あ、前田、忙しかったら仕事戻っていいから」 吉野は席を立って、ホワイトボードの前に立った。 「発注個数だろ? 人数から計算すると…」 吉野がメモ帳のようにホワイトボードに数字を並べると、みんなの意識はそっちへ移った。 俺もみんなの方にイスを持って移動した。 前田はみんなから少し距離を置いて静かに席に着いた。
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