お目付け役

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◆◆◆ 「…これで…最後か」 吉野がホワイトボードに数字を記入して、最後のしるしにそれに丸を付けた。 「…決まった」 「出来たね…」 他のメンバーからも安堵と疲れの声が洩れた。 高遠さんが出て行ってから50分。いつもの終わりの時間からは1時間半を過ぎていた。 俺も肩の力を抜いて大きく息を吐き出し、そして椅子から立ち上がった。 「後は俺が高遠さんに報告に行くから、今日はこれで解散。それぞれの発注先は高遠さんが調べてくれるって言ってたから、それに沿って次回までに発注できればしておく。次回の日程もまた連絡させてもらいます。じゃあ、お疲れさま」 みんながガタガタと寄せ集めた椅子を元の席に戻し、声を掛け合って部屋を出て行った。 吉野はホワイトボードの印刷機能でボード面のデータを印刷していた。 部屋に残ってたのは俺と吉野と…前田。 前田の表情は高遠さんに対する自分の態度を悔いるというより、どこか不満気な表情だった。
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