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「な、なんで?違うよ。違う」
心臓がバクバクと跳ねて冷静さを失っている。
「ホント?」
「……ホント。何でそんなこと言うの?」
「いや。越石も高遠さんのこと気にしてるみたいだし。高遠さんもそうなのかな…と思って」
「…え?」
私はいろんな意味で目を見開いた。
「…違うよ。越石くんは別に私のことなんか気にしてない。…私だって…」
……気にしてない
そう言おうと思ったけれど、言葉が…続かなかった。
「ね、早く片付けて帰ろ?ごめんね、こんなことに付き合わせて」
「だから、俺はいいですって。なんかはぐらかされてる感じ。越石…」
「ほら、これ、お願い」
彼の口からまた越石くんの名前が出てきそうになったので、私は彼の言葉を遮り、少し強引に彼の手にファイルを乗せた。
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