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そんな私の態度に吉野くんは不服そうに私を見下ろした。
もしもこれが越石くんなら…彼の視線はもっと上から降って来る。
この期に及んで、私ははっきりと越石くんのことを考えちゃってる。
それを見透かされないように、私は自分から口を開いた。
「…越石くんは私なんかはタイプじゃないの。彼が私を気にしてるなら、実行委員のお目付け役としての私に…気を遣ってるのね」
「それとは違うと思いますけど」
吉野くんは本棚にファイルを仕舞いながら言った。
彼がなかなか引き下がらないので困っていると、隣の経理室から室井さんが出てきた。
「あ、お疲れ様です。今日は遅くまで…」
いつもならばもう私はとっくに帰っている時間。
彼女は残業を2時間もこなした顔とは思えない明るさで私たちに微笑んだ。
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