もう一人の年下

16/19
前へ
/19ページ
次へ
「室井さんこそお疲れさまです。まだ…なんですか?」 「うん。もう少し。これから社長室に行くの。じゃあ、ごめんね」 彼女は書類を手にして足早に事務所を出て行った。 私は彼女の背中から視線を手元のファイルに移して、次にその視線を吉野くんに向けた。 「…キレイだよね。吉野くんもやっぱり憧れる?」 吉野くんは鼻から小さく息をもらした。 「…確かにキレイですけど、別に憧れはしませんよ」 「あんなにキレイなのに?」 私は変に食いついてしまった。 だって、彼女になびかない男の人がいるなんて信じられなかった。 すると、吉野くんは呆れたようにため息をついた。 「そんなの人それぞれですよ。俺はああいうのはタイプじゃない」 「え、そうなの?キレイな上に、性格もすっごくいいよ?」 「高遠さん、俺に室井さんを売り込んでるんですか?俺はタイプじゃないですし、俺のタイプは…」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

236人が本棚に入れています
本棚に追加