もう一人の年下

3/19
前へ
/19ページ
次へ
「決まった?」 「はい。ここまでできました」 吉野くんが私に用紙を差し出した。 私はそれをデスクに置いて、真剣に覗き込む。 「うん、うん。頑張ったね。…ねえ、これはなんて書いてあるの?」 私が顔を上げて彼を見ると、彼は慌ててその用紙を覗き込む。 「すみません…字が汚くて」 「ううん。吉野くんて、結構力強い字体なんだね。男気あるって感じ」 「…そうですか? 汚いだけですよ」 「そんなことないよ。ふふ、字ってその人を表すよね?なんだか吉野くんをちょっと知れたみたい。…おとなしいコかと思ってたのにな」 「…おとなしい『コ』じゃないですし…『おとなしく』もありません。…俺って結構…強引ですよ」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

236人が本棚に入れています
本棚に追加