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そう言った吉野くんの顔は少しだけ真顔で、私の目をまっすぐに見つめていた。
私は驚きながら少し戸惑った。
吉野くんの視線は彼の言うとおりになんだか強引だった。
年下の…男の子という感じもしなかった。
「…気に障(サワ)ったならごめんね。ね、ここは一人何個の計算?」
私は手元の資料に視線を落とし、やっと彼の視線から解放された。
すると、私を見下ろす吉野くんがため息をつきながら言った。
「…気には障ってませんけど、他の女(ヒト)ならともかく、高遠さんに年下扱いされたくないです」
その言葉に、私は資料の文字を追いかける視線を止めて、吉野くんよりも大きなため息で返事をした。
「…ごめんね。私みたいなのに子供扱いされたくないよね。…子供扱いなんてしてるつもり…なかったんだけど」
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