冷たくて熱い夏

10/27
前へ
/27ページ
次へ
酔った勢い… の、フリをして、俺は思い切って口を開いた。 「あの時の室井さん、綺麗だったなぁー」 「え?」 彼女がすぐ隣で、俺に顔を向ける。 少々顔が赤くなったって、今はどうにでも誤魔化せる。 「何か、いつもより色っぽくて。…初めて会った時より今の方がずっと綺麗です。どんどん綺麗になっていくみたいです」 「…そんなこと…ないですよ」 彼女がピーチティーのグラスを握りしめて顔を伏せる。 そういう仕草がたまらない。 彼女は顔を伏せたまま、少し落ち着かない様子だった。 落ち着かないのは俺も同じ。 心臓が激しく跳ねる。 でも… 今しかないと思った。 「…室井さん、付き合ってる人いるんですか?」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加