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聞きたいのが半分。
聞きたくないのが半分。
だけど、もう、遅い。
聞いてしまったのだ。
俺が求める言葉は当然一つ。
その答えだけを待っていた。
驚いた顔で彼女は小さく声を洩らした。
俺からの、予想もしない言葉だったのだろう。
誤魔化される場合も十分にあり得ると思ったけれど、俺の視線に彼女は真剣に応えてくれた。
ただし…
それは、
俺が求めてる答えではなかったけれど。
「…はい。います。お付き合いしてる……好きな人が。」
その言葉だけでも胸の奥に何かが沈んでいくのに、
彼女の揺るがない瞳が俺をもっと落ち込ませた。
きっと…
その相手を心から想っているんだろう。
だけど、
俺はものわかりのいい男を演じるつもりはなかった。
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