冷たくて熱い夏

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俺の言葉にさっきまで場を盛り上げていた藤森さんの顔が冷めていく。 唇を閉じてどこか不満気。 どうしてそんな顔をされなきゃならないいんだと思いながら彼女の言い分を待つと、彼女はため息をついて言った。 「あのさ…、そういうこと、私に聞く?知りたいなら本人に聞きなよ」 本人に聞けるならとっくに聞いてる。 「聞いたら教えてくれるんでしょうか?」 「さあね、知らない」 「だったら…」 「聞いてどうするの?社内の人か、そうでなかったら何か変わるの?」 「そういうわけじゃ…ただ、社内だったら気になるじゃないですか…」 「気になる?自分に勝ち目があるかどうか、判断するため?」 俺は彼女の言葉に答えなかった。
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