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「そんな探りを私に入れてるようじゃ…もう負けね」
彼女の言葉に苛立った。
なのに彼女はやめようとしない。
「ゆいだってそんなあなたには絶対になびかないよ」
彼女の言葉に思い切り顔を歪めると、隣の成瀬さんが俺の肩を叩く。
「はっきり言うだろコイツ。でもさ、コイツの言ってることって、悔しいけどいつも正論なんだよ」
俺は返す言葉がなかった。
俺だって、彼女の言葉がもっともだって思ったから。
自分が情けなくなっていた。
「いえ…すみません、俺がこんな場で…」
俺が顔を伏せると成瀬さんが時計を見る。
「もう、ここもお開きだ。今度は酒がウマいとこで飲み直しだ。お前もそんな顔してんなよ。今日は打ち上げだぞ」
すると藤森さんも笑った。
「そうそう、今日は森田部長のおごりなんだし!!」
俺は自分の子供染みた真似に苦笑いを浮かべていた。
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