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その数十分前の公園。
蔵人がベンチの少女に近づく。
「もえ…ちゃん?…だよね?」
「……?」
少女は顔を上げ怪訝な表情をする。
「ちょっとい?これ一枚、貰える?」
「……!」
驚く少女に構わず蔵人は図々しくスケッチブックを取り上げ、
ビリリ…と画用紙を引きちぎった。
「書くのも貸してね?」
勝手に鉛筆を取り蔵人は少女に背を向けて包帯をした手で不器用に何かを書く。
「……?」
少女は警戒するように蔵人を睨んでいる。
「知ってっかな~?毎日、ここ通る奴。カメオって変な名前で最近は首にシルバーの亀、ぶら下げてる…」
蔵人は画用紙をおみくじのように折りたたみながら訊いた。
「……」
コクリと少女は頷いた。
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