6人が本棚に入れています
本棚に追加
ガサ。ガサ。
カメオは公園の正面口で蔵人からの手紙を開いた。
「…えっ?どえっっ」
思わず素っ頓狂な声を上げる。
「……?」
少女は訝しげにカメオの様子を見つめる。
大きな紙には汚い大きな文字で殴り書きに、【デートにさそえ!!】と書いてある。
「……」
少女に見られないように慌てて手紙を折って、カメオはあたふたと赤面する。
少女はベンチの方へ戻ろうとした。
「あっ、あの」
カメオは思わず呼び止めてしまう。
「……?」
少女は立ち止まって振り返る。
「いや、あの、え…と」
カメオはしどろもどろになりながらベンチの上の画材を見て、思い付いたように、
「き、きみ…。画家とか、なりたいんだ?」
言ってから陳腐さに『シマッタ!』という顔をする。
「……」
にわかに少女は気に障った表情になった。
カメオをジロッと見ると落ち着き払ったような声で、
「それ、あなたに言う必要ある?」
そう言って少女はベンチに戻り、通学バッグを手に取った。
「……」
あまりに意外な態度にカメオは呆然とする。
少女はさっさと画材をまとめると女子高の方向へ足早に歩き出した。
「……」
遠くなる少女の背中をカメオは呆気にとられたまま見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!