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二日後の朝。
カメオが起きてくると、居間にサオリの姿が無かった。
テーブルに朝食の仕度をしてある。
アジの干物。(地元の特産)
納豆。
玉子焼き。
ほうれん草の胡麻和え。
ワカメと豆腐の味噌汁。
サオリが来てから中村家の食卓は絵に描いたようなメニューである。
「…サオリさんは?」
カメオがテーブルに着く。
「ああ。サオリさん。埼玉の実家だって。赤ん坊の顔を見せに里帰りなんでしょ?」
千鶴子が納豆をネバネバと掻き混ぜながら万亀男に訊ねる。
「実家のご両親、長崎から帰って、まだ一度もマー坊に逢ってないもんなぁ」
万亀男は味噌汁をズズッと飲み、
「ハア~…」
と満足げに息を吐く。
「……!」
ハタと気付き、
カメオは居間のテーブルの上に置きっぱなしのケータイを手に取った。
(あっ。アヤさんからメール、来てる…)
カメオの知らない間にアヤからのメールの着信があった。
すでに開かれた表示である。
パチンッとケータイを閉じ、
(…サオリさん…?)
嫌な予感にカメオは顔をしかめた。
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