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翌日の昼近く。
「……」
カメオは眼を覚ますと、見知らぬ部屋で寝ていた。
「……?」
顔の横にテーブルの脚がある。
そこはキッチンだった。
カメオはダイニングテーブルの下に敷いた布団の上に寝かされていたのだ。
足先のコンロ台に眼を向けると、見知らぬ女が料理を作っている?と思ったら、
グレーのスウェットの上下。
頭にタオル地のターバン。
化粧を落とした地味ぃな素顔の『カラミティ』のママである。
昨夜とは別人のようにババ臭い。
「…あら。眼、覚めた?ちょうど、これから、ご飯。…クロちゃ~ん。いいわよ~」
ママが隣の寝室に声を掛ける。
少し開いた引き戸からベッドが見える。
「……」
カメオはムッとなってテーブルの下を抜け出て立ち上がった。
「お、俺。帰ります…っ」
言ってからママが全開した戸の寝室の中を見てハッとなる。
「……?」
ベッドに年配の男性が寝ていて蔵人が肩を貸し上体を起こすのを手伝っている。
「……」
「ああ。うちの旦那。…去年、脳梗塞で…」
ポカンと見ているカメオにママが言った。
「せーの…」
蔵人が車椅子に男性を移動させようとしている。
「…あっ」
蔵人の両腕の包帯を見てカメオは急いで駆け寄って手伝った。
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