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その夜。
「こんばんは~。恭平も誘っちゃった♪」
アヤと恭平が連れ立って『カラミティ』にやってきた。
「……」
二人を見て蔵人はイヤ~な顔になる。
「なによ~。わたし達はカメオ君に逢いに来たのよ」
ツンとしてカウンターの中の蔵人に言い、アヤはカウンター席のカメオの隣に座った。
L字のカウンターのコーナーの短い方は二席分で壁側はカウンターの中と店を行き来する腰までの高さのスイングドアになっている。
カメオはここを指定席に決めていた。
ママや蔵人が頻繁に出たり入ったりする真横で他の客は滅多に座らないので好都合だった。
「カメに飲ませんなよ」
蔵人がカメオの前に南高梅ジュースを置く。
「だけど、カメオ君くらいでしょ?蔵人さんがいなくなったの心配してたの。べつに誰も探してなかったし」
恭平が棘のある言い方をした。
「そうよ。わざわざ探して逢いに来るなんて、奇特なコよね。感心しちゃう」
アヤも恭平に同調する。
「蔵人さんが田舎に引っ込んでからだから…四年くらい?俺達のほうが蔵人さんとは付き合い長いですけどね」
「わたし達とは、十年くらいになるんじゃない?」
顔を見合わせながら恭平とアヤが言うと、
「へええ。そんなに?」
カメオはあまり仲良さそうには見えない三人を不思議そうに見た。
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