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「アラ、可愛いわね。“ゆーくん”だなんて」
クスッと笑う愛子さんが、大人に見えて羨ましい。
ショートボブの黒髪も、パンツスーツから覗く引き締まった足首も。
有能な若手弁護士で、名を馳せている実績も。全てが眩しく見えた。
ご両親もいくつか会社経営をしている裕福な家庭で、いわゆる良家のお嬢様でもあった。
あたしには無いものをたくさん持っている愛子さん。
こんな人が相手なら、ゆーくんのメリットになるのだろうなとも思った。
愛子さんの足元にも及ばない。
生まれや育ちなど、自分の努力でどうしようもないことに太刀打できない。
あたしの最大のコンプレックスでもあったのだ。
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