花に酔う獣【11】 side花

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バイトのお使いに行って事務所へ戻ると、お気に入りのペンが無くなっていることに気が付いた。 「あれ?」 どこかに転げているのかと、机の下やゴミ箱まで見たけれど見当たらない。 引き出しを開けたり閉めたりしていると、同じ事務員さんにどうしたのかと聞かれる。 「所長にもらったお気に入りのものでしょ?おかしいわね、ついこないだも給湯室のカップが無くなったって言ってなかった?」 事情を話すと、困惑気味に眉をひそめる。 「お騒がせしてすみません、もしどこかで見かけたら教えてください」 お礼を言って仕事に戻る。 最近身の回りのものが無くなることが多くなった。 バイト先だけではなく、大学でもそれは起こる。
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