花に惑う獣【6】 side獣

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ここ最近、気付くと視線を感じる。 特に文香といる時に気がつくことが多いが、そこになんの感情込められていない視線。“観察”されているかのようなものだ。 文香のストーカーと言うわけではなさそうなのは、僕ひとりの時も感じるからだ。 「ふーん。なるほどね」 誰の視線か察してこの後の展開の予想を頭で組み立てる。 予測通り数日後、勤め先の予備校の理事長から呼び出された。 「そこに書いてある記事は事実でしょうか、美馬先生」 困惑気味の理事長が差し出したのは、週刊紙の見出し。 【カリスマ人気講師の堕ちた恋】 【妹との禁断の愛】 【同居していた頃から未成年の妹に淫らな行為を!?】 そこには僕と文香のことが面白おかしく書かれて、彼女にキスしている写真まで載せられていた。
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