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妻子もあり長く議員に仕えたその男は、愛らしい娘に欲望を抑えられずに合意もないまま行為に及んだ。
その後も関係を強要し不倫関係が続いた結果、由香が妊娠。文香を授かる原因となったと資料にはあった。
表向きには病気療養のためとして、その男は遠方の病院に収容された。
死因までは不明だが、マスコミが文香の父親にまで辿り着いたとしても死人に口無し。
これで終息すると思っていたが。
「……野宮の奴、何か隠しているな」
世の中の裏の事情にも通じ、財政界にも顔の利く男だ。僕の知らない何かを掴んでいる可能性はある。
夜の街を歩きながら、嫌な予感が頭をよぎる。
「最後の仕上げの邪魔をされるわけにはいかない」
独りごちて、煌びやかな夜の街に背を向けた。
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