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「ママ、レースとかピンクとか安くても可愛いものが好きなんです。今度、ママの欲しいものを買ってあげてください」
ママのこれからの人生が、幸せなものになりますように。
「ママはきっと野宮さんに遠慮して、子供っぽいものを我慢しているんだと思います」
だから結納のあの日、あたしのピンクの指輪を欲しがったんだと思う。
野宮さんの好みはハイブランドの大人っぽいデザインなのかもしれないけれど。
眉を上げ少し驚いた表情をしたあと、何か思い至ったのか苦笑いをしてうなずいた。
「そうか。熱が下がったらお祝いに好きな店に連れて行ってやるよ」
「良かったらママの好きなお店、教えますね」
そう言って微笑んで、病室をあとにした。
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