穢れた花 【3】

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親どころか何人の人間の血で染まったか分からない両手。 切り傷や火傷の跡の残った、醜い身体。 「お前が穢れていると言うのなら、俺はもっと薄汚く穢れている」 「一真(かずま)さん……」 “そんなことない”なんて安易な言葉は、由香も吐かなかった。 「ボロボロね、アタシたち」 首に腕を回して甘えてくる由香を抱きしめ、彼女が眠りにつくまでずっと髪を撫でてやった。 女に過去を話したのは初めてのことだった。 やられたらやり返す。それで相手が死んでも何とも思わない。 人としてどこか欠けている俺たちは、欠けたままの形で寄り添った。 欠けた欠片なんて探さない。 欠けたままで、いびつな形のままでいい。 それが俺たちには相応しいと、思った。
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