雪柳の咲く頃

4/9
前へ
/11ページ
次へ
 そんなある日。  ふと通りかかったアンティーク・ショップ『蒼空――SORA――』に立ち寄った。  ぐるりと店内を見て、レジの方へ。レジ横のガラスケースの中に、1万円以上の万年筆があった。  弁護士も検事も、事務系の作業が多いので、筆記具も意外と使う。  パソコンが普及したから、と、書き作業が無くなる事はないのだ。  ――お揃いの万年筆が欲しいなぁ。  礼緒菜は弁護士。  俺は、検事。  一緒に仕事、なんて、夢だけれど。……あぁ、俺が将来、弁護士になればいいのか。  ……何年先の話だよっ!  ……脱線した。  持ちやすくて、シンプルなデザインの万年筆。  安っぽいプラスチックじゃなく、ステンレス製。  持ち運びしやすいカートリッジタイプ。  書きやすいのは、もちろんだけどね。  ――見つけた。  お揃いの万年筆。青と、黒。  青い万年筆を綺麗に包んでもらう。  黒は、そのまま袋に入れてもらった。 .
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加