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ファミレスに行く前に、礼緒菜に断って、お店にキャンセルの電話を入れる。
車を発進させる。
「紫貴ちゃん」
「なあに?」
「ごめんね? 予約取ってくれたんでしょ」
「うん。……大丈夫だよ」
「なら、いいけど」
俺は、苦笑すると、片手で礼緒菜の頭を撫でた。
レストランの駐車場に車を入れる。
車から出て、店内へ。
夕食の時間と重なってるせいか、家族連れが多い。
予約帳に名前を書いてから、暫(しばら)く待たされた。
窓際の席に案内された。
向かい合って座り、料理を頼む。
俺がステーキで、礼緒菜がハンバーグを頼んだ。
「今日、何かあったかな?」
「うん、あるよ」
「えーっ! 聞いてないしっ!」
礼緒菜がプックリと頬を膨らませる。
「年に一回は必ずある事だよ?」
……誕生日だからね。
「わかんないよーっ!」
俺は苦笑すると、袋から綺麗に包まれたプレゼントを出した。
「これ、礼緒菜に」
「私?」
「うん。誕生日おめでとう」
にっこり笑って渡すと、あっ、と言う顔をしてからすぐに破顔した。
「うわぁ、ありがとう! ねぇ、開けて良い?」
「うん」
ワクワクした顔をして、礼緒菜が包みを解(ほど)いた。
「……ペン?」
「万年筆。俺とお揃い」
そう言って、内ポケットから万年筆を出す。礼緒菜と色違いの黒だ。
「嬉しい。ありがとう」
礼緒菜がにっこり笑った。
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