過去との決別

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「佑二、あれって..」 「噂をすれば..ってとこ?」 優花さんなの!? 「...なんかこっち見てるよね」 「うん 見てるね」 「あれ、こっちに向かって来てない?」 「うん 来てるね」 優花さんがまっすぐ私たちの方へ 向かって来る。 自分の心臓の音がうるさく感じる程、緊張する。 佑二を見ると、完全に色をなくした いつもの佑二に戻っていた。 「佑二くん、また会ったね!」 満面の笑みで近寄る優花さんが 私を一瞥した。 「あら、彼女?」 「あっ...私」 佑二が背中をとん とたたいて 私が言おうとするのを制した。 「だったら何? カンケイないよね」 「もー つんけんしちゃって。可愛くないの」 「なんでここに?」 「たまたまこの近くで仕事でねー。 そういえば佑二くんの学校、この辺だねーって それで待ってみたら会えた☆」 「...僕に何か用ですか?」 恐ろしく冷たい表情なのに 口元だけ笑っている佑二のオーラが 真っ黒に見えてゾクリとした。
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