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「...」
そう..だよ。
佑二にはカノジョいるんだよ。
優花さんの傷ついた顔をみて、
自分も同じ顔をしているような気がして
咄嗟に俯いた。
「若いコウコウセー相手にしてるヒマあったら
オトナのオトコに出会いを求めた方が
いいんじゃないですか?」
「...佑二く..」
「じゃ、これで..」
私の背中に手が触れると同時に
切羽詰まった声が追いかけて来た。
「待って!お願い..
話を聞いてほしいの」
佑二が無表情のまま振り返って
優花さんを見ると、
フッと笑ったような仕草をして
温度のない声で口を開いた。
「...この間も言いましたけど、
優花さんには幸せになってほしいって
思ってます。」
「だったら...」
「...僕があなたの望むカンケイになっても
...心はここにありませんから」
「...」
「コウコウセーのガキでも、
好きな人を泣かせるのは怖いんですよ」
「あなたを慰めた事に心がなかったとしても、
彼女を悲しませるような事はしたくない」
優花さんはもう
何も言ってこなかった。
「...じゃ」
今度こそ私の背中を押して、
改札を進む。
振り返る事なんて到底できずに、
無言でホームに続く階段を上って
並んでベンチに座り、電車を待つ。
「...ごめんな。嫌な思いさせたな」
「あ..ううん、いいよ別に。私は...」
「ルカがいてくれてよかった。」
「俺一人だったら拉致られてたかも」
佑二がおどけて言ったけど
本当に、そんな勢いだったから怖い。
「優花さんって私の中でのイメージと違ってた」
「まるっきり変わってるよ。俺もびっくりだ」
「そうなんだ」
急に佑二が大人びて見えて
自分との距離が実は
ものすごく遠いんじゃないかって気がして
ギュウ と胸が締め付けられた。
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