一章 逃亡

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薄暗い部屋には閉め切ったはずのカーテンの僅か隙間から太陽光が差し込んでいる。 部屋の中が、こんな姿が外から見られなければ光なんて関係ない。 事が済めばそれさえも無くなるだろう。しかしそれが邪魔をしている。下らないプライドだ。 一刻も早くこの後悔から逃げ出したい。もはや躊躇など微塵もない。 一仕事を終え自宅に帰宅する高揚感にも似た感情を抱きつつ、身の丈半分程の梯子に足をかける。 そして天井から吊り下げた縄に首を通した。
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