二章

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「就職する」母はその言葉に涙を流した。 「ごめんね…。大学にも行かせられなくて…」 確かに周りの人間は「こんな町出て都会の大学行く!」なんてはしゃいでいたが、俺は大学のだの字も考えていなかった。多くは無いが高卒でも働き口があった時代に大学というブランドに魅力を感じなかった。いかに母と弟を支えるか。それだけを考えていた。 「ごめんね…」そう繰り返し呟きながら涙をみせる母を必死になだめ、自分の考えを打ち明けた。すると今度は「ありがとう…」と繰り返し、再び涙を流し始めた。
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