三章

2/2
前へ
/36ページ
次へ
入社して早三年、弟は高校を卒業する年を迎えた。 「高校卒業したらどうするんだ?」 「就職する」 「大学には興味無いのか?」 「あんな所興味ないね」 弟は一刻も早く職について稼ぎたいという。俺達家族を援助するためだ。しかし俺は知っていた。弟は大学進学を望んでいる事を…。 弟にある一人の親友がいた。家に良く遊びに来ていたのもあり、俺も仲良くなっていた。 そんなある日「弟には内緒で」という前置きで弟の大学への考えを教えてくれたのだ。 やっぱり……。 俺は心の中でそう呟いた。 弟の学年では進学率が七割にも昇っていると聞いた。せめて弟だけでも希望通りに、そして楽しい人生を歩んで欲しい。弟からも「家族の支えになりたい」「家族に迷惑をかけたくない」そう言う気持ちがひしひしと伝わってくる。 しかしそれでは駄目だ。 俺の二の舞にしてはいけない。 俺は弟を呼んだ。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加