嫉妬 ①

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「あ、でも進藤さんは、男には興味ないって言ってなかった?」 「ああ、たまたま惚れた相手が男だっただけだ。今だって、こいつ以外の野郎になんざ興味がないね」 圭太は昴を見上げる。圭太の視線を受けて、昴が何事か企んだ顔で、ニヤリと笑った。その悪い顔に妙な色気を感じ、圭太は戸惑う。 必然的に見つめ合う形になった二人を修也が引き離した。徐ろに昴の腕を掴むと「ちょっと、来い」と、病室から連れ出したのだ。その後ろ姿を見送り、圭太は密かに溜め息を吐き出した。 「改めて、初めまして。青柳理久です」 顔を向けると、リクがニコリと笑う。 「小原圭太です・・・事故に遭ったって」 「・・・はい。ボーとしてたら撥ねられちゃいました」 気恥ずかしそうに笑いながら言ったリクに笑い事じゃないだろと、圭太は心の中で突っ込む。 「進藤さんて美人さんが好きなんですね」 唐突に言われて「はっ?」と目を剥く。 「修也も本当は美人さん好きなんですよ」 「・・・へぇ?」 「僕は良くハムスターかリスだって言われてて、修也のタイプとは全然違ってたんですよね」 「・・・・」 「だから、凄い頑張ったんです。修也の恋人になりたかったから。諦めたくなかったから。だから、修也が振り向いてくれた時は本当に天にも登る気持ちだった」 リクはそう言って、気恥ずかしそうに笑った。だから何だよ。胸の内に沸き起こるドス黒い思いを飲み込んだ。
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