第5章

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「一カ月前に離婚したんだ」 その言葉に目を瞠る。 「バツが二個も着いちゃった」 ペロリと舌を出し、戯けた様子で呟く沙織に「また男作ったのか?」と悪態を吐く。 「遠慮を知りなさい。相変わらずキツイわよね。ていうか、貴方じゃないんだから早々浮気なんてしないわよ」 倍になって帰ってきた悪態に、圭太は苦虫を噛み潰したような顔をした。沙織はカップを手に取ると口に付ける。目線は圭太を捉えたままの沙織の、その探るような視線に居心地悪く身動ぎをする。 「・・・なんだよ」 耐え切れず顔を背けると、ぶっきらぼうに呟いた。 「風太は元気?」 「ああ、元気が有り余ってる程だ」 「今日、連れて来てくれるかと思ったんだけど」 「・・・保育園だし」 「休ませればいいじゃない・・・それとも自分を捨てた母親になんて逢いたくないって言われた?」 自嘲を浮かべる沙織に、圭太は慌てたように首を振った。 「違う。風太には伝えてない。だから、そんなことも言われてない。それに・・・悪かったのは俺だ」 散々浮気を繰り返した挙句、手を出してはいけない人間に手を出して会社をクビになった。愛想を尽かされるのは当然だ。
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