419人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁ、なんだ」
『・・・なによ』
警戒する声音に苦笑した。
「あのな、沙織。お前は俺の嫁だった女で風太の母親だ」
『・・・うん』
「そんな相手を邪険に扱う筈がないだろ？」
優しく諭すように言えば『結婚してる時は家政婦以下の扱いだったクセに』と詰られる。圭太は頭をかきながらバツが悪そうに口籠った。
「その辺は・・・あれだ」
『何よ』
「反省してんだ。悪かった」
修也と付き合い出して、求められ大切にされていると感じる度に、圭太は過去の自分を振り返り、沙織や今まで付き合ってた女性に対しての態度をかなり猛省していた。
「出かけるなら風太を預けなきゃ行けないしな。予定が決まったら連絡するよ」
修也の予定も確認しなきゃな。頭を巡らす圭太に、沙織がボソリと呟く。
『・・・風太連れて来てもいいけど』
「・・・話があるんだろ？込み入った話じゃねぇの？」
風太が居て話が出来るのか？と含ませる。
『・・・あ、うん、そうだね』
ションボリとする沙織に苦笑する。
「別に会わせないなんて言ってないだろ？」
『会ってくれるかな』
「大丈夫だって言いたいが、俺にもそれは分からない。でも風太には俺から話をしてみるから待ってろ、な？」
沙織はうんと小さく頷いた。圭太はじゃあ、またなと電話を切った。
最初のコメントを投稿しよう！