第5章

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「しゅう、や?」 呆けた様子の圭太に、修也が眉根を寄せた。 「お前、大丈夫か?」 問われる意味が分からなくて「えっ?」と問い返した。 「今、仕事中だぞ?」 確認するかのように言われて、圭太は目の前に座る依頼主に目を遣った。戸惑う視線とかち合い、あっと声を上げた。 ヤバい、仕事中に呆けた。 「すみません」 依頼主に頭を下げて修也に大丈夫だと頷いてみせた。修也は物言いたげな顔をしたが、圭太から視線を外し依頼主に目を向けた。 「中断してしまい、申し訳ありませんでした。隣に居るのは助手の小原と言います」 修也の紹介に頭を下げた。 「小原圭太です。よろしくお願いします」 「よろしくお願いします」 「早速ですが、今書いて頂いた依頼内容を確認させて頂きます」 修也はそう言って、ファイルに目を落とした。 「桑田由紀子さん、ご依頼は旦那さんの浮気調査でよろしいですか?」 「はい」 「旦那さんの名前は桑田数馬さん。製薬会社にお勤めなんですね・・・営業を?」 「いえ、事務職を」 「不定期に帰りが深夜になるとありますが、仕事やその延長線上の付き合いの類いではなくて、浮気だと?」 修也の問いに、由紀子は「はい」と力強く頷いた。疑惑はほぼ確信に近いのだろう。彼女の様子を観察していた圭太は、そんな風に感じていた。
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