第5章

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『代替わりしたばかりで年若な組長だけど、とてもしっかりした人でね。無理や無茶を言う人じゃないから、風太に来て貰っても問題はないとは思うんだけど・・・さて、どうしたものかな』 ふむと、悩む幸也に、圭太は「気にしないで下さい」と言った。 「幸也さんを悩ませるつもりはないんです。今回は止めておくように風太には言って聞かせます」 『それはそれで、私も寂しいんだよね』 風太が泊まりに来るのが楽しみなんだと言われている気がして、圭太は嬉しくなる。 『九条グループは知っているかい?』 唐突に話を振られて圭太は戸惑う。 「・・・九条グループですか?」 『そう。割と手広く商売をやっていてね、ホテルや不動産業に飲食店。最近はIT業界の方に進出していたんじゃないかな』 九条の名は聞いたことがある。この町に最近出来たコーヒーが有名なカフェや、隣の駅の近くにある割と豪奢なホテルも確か、九条グループの持ち物の筈だ。でも、今までの話の流れからどうしてと、首を傾げる。 「・・・えと、それが?」 『うん、週末に来る客っていうのがね、九条響って言って、九条組の頭なんだけども、九条グループは九条組のフロント企業みたいなものだから。九条組っていうより、説明がし易いかなと思ってね。ただ、フロント企業って言っても、経営は違う人間がやってるみたいだけどね・・・あれ?携わってたかな?」 どうだったっけなと、呟く言葉は、話の内容に衝撃を受けていた圭太の耳には届かなかった。
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