第5章

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「・・・ビックリしました」 『割と知られてたりするんだけどね』 「知りませんでした」 『うん、そんな感じがしたよ』 幸也がクスリと笑う。 『ーーところで、風太が泊まりに来たいと言い出したのは、もしかしたら奏に泊まりに来てと言われたからかな?』 「・・・あー、そうみたいです」 圭太は、隣で圭太にもたれている風太を、そっと見る。必死で目を擦り、起きていようと悪戦苦闘していた風太は、大人の長電話に根負けして夢の世界へと旅立ち掛けていた。 『やっぱり、そうだと思った』 苦笑混じりに笑う。 『子供を二人連れて来るんだけどね、どうも奏は苦手らしくてねぇ』 「年が近いんですか?」 『同じ年だよ。男と女の双子なんだけど二人共、物怖じしない性格でね・・・奏はかなり振り回されているようなんだ。年も同じだし、仲良くなってくれれば良いと、親は思っているんだが、中々難しくてね。・・・でも・・・そうだな、風太が間に入ってくれれば上手く行きそうな気もするな』 幸也はふむと呟き『風太はそこに居るのかい?』と訊ねて来た。 「ええ、居ます」 『話しをすることは可能かな?』 「ちょっと待って下さいね」 圭太は、風太と声を掛けた。寝ているのに可哀想だとは思ったが、このまま起こさなかった方が後々面倒なことになると判断し、圭太は風太を起こした。
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