第5章

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ソファに座り、修也の淹れたコーヒーを啜ると、ホッと息を吐き出した。自分が淹れるコーヒーより、何十倍も美味いコーヒーに舌鼓を打つ。同じ機械を使い、同じように淹れている筈なのに、どうしてこうも違うのか。ーー謎だ。 「仕事、どうだったんだ?」 圭太は目の前に座り、同じようにコーヒーを飲む修也へと顔を上げた。 「ん?・・・うーん・・・どうって・・・なんだかなぁって感じか?」 眉間にシワを寄せながら、煮え切らない返事を返す修也に首を傾げた。 「問題か?」 「いや、そうじゃない。・・・まぁ、初日だしな。1週間は張り付く予定だから、追い追いな」 苦笑を零す修也に「そうか」と呟いた。まぁ、初日から決定的現場を押さえられたとしても、慎重にするに越したことはないからな。自分の中で納得し、圭太は頷く。 「ああ、そうだ。土曜日、俺が風太を奏のとこに連れて行ってやるよ」 「へっ?」 目をパチクリとさせた。少し呆けたような素振りに修也が「週末、風太を奏のとこに泊まらせるんだろ?」と説明を加えた。 「あ、ああ・・・でも、あれ?俺言ったっけ?」 昨夜、部屋に連れ去られた後はベットに押し倒され、話をする暇もなかったはずだ。それとも、覚えていないだけで話したのか?疑問符を頭に浮かべ修也に目を向けた。
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