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「風太に聞いた。嬉しそうに報告してくれたぞ?」
修也の言葉に、ああと頷いた。成る程、それで知ってたか。
「いいのか?」
「ああ、構わない。丁度出かける予定もあるしな、ついでに連れて行くよ」
「・・・出かける予定?」
ジッと修也を見ると、修也の目がフイと逸らされた。
「・・・人と会う約束をしてるんだ」
修也はそう言うと、その話は終わりとばかりに立ち上がる。
「あ、そうそう。土曜日は風太も居ないんだ。元嫁に会うのは、その日にしたらどうだ?俺も暫く夜は居ないし、その日が一番都合が良いんじゃねぇか?」
あからさまに話題を変える修也に、胡乱な目を向けた。
「・・・・・・そうだな、そうする」
お前、怪しすぎだぞ。誰に会うんだ?俺には言えない奴か?出かかった言葉は全てコーヒーと共に流し込む。そんな圭太の気持ちには気付かずに、修也がホッとした笑顔を向けて来る。
その様子に、圭太はズキリと胸が痛んだ。あんなに美味しいと思ったコーヒーが、何だか味気なく感じていた。
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