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当日、お泊まりセットを背負った風太が、朝ごはんの片付けをする修也に纏わり付く。ご飯の最中も心ここに在らずで、そわそわと落ち着かない様子を見せていた。
早く行きたい気持ちは伝わってきたが・・・圭太は苦笑を浮かべながら見ていた。
「あっちで座ってろ、動き難いだろうが」
「むりだもん、じっとなんて出来ない」
「邪魔だ」
「あきらめて」
修也に邪険に扱われようがヘコタレず、風太は今か今かと修也の様子を窺っていた。
「あのなぁ・・・」
呆れた声で修也が洗い物の手を止めると「終わったのか?もう行けるのか?」風太がすかさず訊ねた。
「・・・いや、まだだ」
「じゃあ、なんで止めるんだ?はやくしろよ」
その余りな言い草に圭太は「風太、良い加減にしろ」と叱る。
「修也の邪魔をしてるのは、お前だろうが」
そう言って首根っこを捕まえ、引き離した。
「悪いな、後は俺がするから、このバカを連れて行ってやってくれるか?」
「父ちゃん、ヒドイ」
圭太がジロリと睨み付けると、風太が口を尖らせる。
「バカじゃないもん」
ぶつぶつと呟く言葉は無視した。
「・・・そうだな。風太も落ち着かないみたいだし、連れて行くか。圭太、あと頼めるか?」
修也の問い掛けに、圭太は頷いた。
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