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ジリリリリリと鳴り響く目覚ましを止め、圭太は目を開けた。朝の眩しい光に目を細め、のっそりと起き上がる。眠い目を擦り、大きく伸びをした。
洗面台で顔を洗い、服を着替えると部屋を出て階段を降りる。事務所に続くドアを素通りし、修也の部屋のドアを押し開いた。
そのまま部屋の中へと入り、リビングへと向かった。
「よう、おはようさん。早いな」
ソファに座り新聞を拡げていた修也が、顔を上げる。
「はよ。・・・何時に帰って来たんだ?」
「ん?明け方?」
圭太は眉を顰め、修也の正面に腰を下ろした。
「随分と遅かったんだな。何してたんだ?」
「昨日、突発で仕事が入ってな」
修也はそう言うと、新聞を叩み腰を上げた。
「メシ食うだろ?用意する」
「いや、まだいい。それより話がある。座ってくれないか?」
修也は、ゆっくりと瞬きをし、腰を下ろした。
「改まってなんだ?」
「ああ」
圭太は、寝起きで回らない頭を必死で回転させる。ーーさて、どう聞くべきか。
沙織から話を聞いて色々と確認したかった。それに、沙織との関係を何故黙っていたのかも知りたかった。
蟠りはとっとと無くすに限る。一人悶々と考えていたって、ロクなことにはならないのだから。
当たって砕けろだよな・・・いや、砕けちゃダメだろ。一人ツッコミをしながら、息を深く吸い込み、こちらを黙って見つめる修也を見返した。
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