419人が本棚に入れています
本棚に追加
「風太は小さい。まだまだ母親が必要な年だ。お前はゲイって訳じゃない。俺に押し切られて男と付き合うことになったが、本来なら女と恋愛して結婚だって出来る男だ」
「・・・なに、言ってるんだ?」
「風太は何も言わないが、本心では母親を求めている。お前の元嫁なら血も繋がっているし、最初はぎこちないかもしれねぇが、一緒に暮らしていれば直ぐに慣れるだろ」
「ちょっ、待てよ」
圭太は慌てたように、修也の言葉を遮った。
「・・・な、に、言ってんだよ」
喉が絡んで上手く呂律が回らない。圭太は、くそっと小さく舌を打ち、じっと見据える修也を見る。
冷たく醒めた目に射抜かれ、ゾクリと背筋が震えた。初めて見る修也の目だった。
「・・・な、なんでこんな話になってんだよ。まるで・・・別れ話みたいじゃないか」
怯みそうになる自分を鼓舞し、言った言葉に自分で衝撃を受けた。
「その認識で間違ってない。ーー別れ話だ」
「・・・っ」
迷いのない切り返しに、圭太は息を飲んだ。目を見開き修也を凝視する。
「・・・な、なんで」
「理由ならもう言った」
「納得出来るハズがないだろ!大体、俺は、お前に惚れてんだ」
風太の為とか、何だそれは。
「今は確かにそうかもしれないが、一時のもんだ。熱病と同じだ。直ぐに忘れるさ。心配するな」
俺の気持ちを決めつけるな。叫び出しそうになる自分を抑えた。
「今更だが、悪かったと思ってるんだ。気持ちを押し付けて、かなり強引にことを運んだ自覚はあるからな」
シニカルな笑みを浮かべる修也に被りを振った。
最初のコメントを投稿しよう!