第5章

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「風太は小さい。まだまだ母親が必要な年だ。お前はゲイって訳じゃない。俺に押し切られて男と付き合うことになったが、本来なら女と恋愛して結婚だって出来る男だ」 「・・・なに、言ってるんだ?」 「風太は何も言わないが、本心では母親を求めている。お前の元嫁なら血も繋がっているし、最初はぎこちないかもしれねぇが、一緒に暮らしていれば直ぐに慣れるだろ」 「ちょっ、待てよ」 圭太は慌てたように、修也の言葉を遮った。 「・・・な、に、言ってんだよ」 喉が絡んで上手く呂律が回らない。圭太は、くそっと小さく舌を打ち、じっと見据える修也を見る。 冷たく醒めた目に射抜かれ、ゾクリと背筋が震えた。初めて見る修也の目だった。 「・・・な、なんでこんな話になってんだよ。まるで・・・別れ話みたいじゃないか」 怯みそうになる自分を鼓舞し、言った言葉に自分で衝撃を受けた。 「その認識で間違ってない。ーー別れ話だ」 「・・・っ」 迷いのない切り返しに、圭太は息を飲んだ。目を見開き修也を凝視する。 「・・・な、なんで」 「理由ならもう言った」 「納得出来るハズがないだろ!大体、俺は、お前に惚れてんだ」 風太の為とか、何だそれは。 「今は確かにそうかもしれないが、一時のもんだ。熱病と同じだ。直ぐに忘れるさ。心配するな」 俺の気持ちを決めつけるな。叫び出しそうになる自分を抑えた。 「今更だが、悪かったと思ってるんだ。気持ちを押し付けて、かなり強引にことを運んだ自覚はあるからな」 シニカルな笑みを浮かべる修也に被りを振った。
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