第5章

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「・・・てか、変わってないな。前の電話でえらく殊勝なこと言い出すから、少しは変わったのかと思ったんだが・・・そんなんじゃ、いつまで経っても嫁に行けないぞ?」 「兄貴見て育ったからね。男性不信に陥ってんのよ。結婚する気ないから、心配無用よ」 「そうなのか?」 「孫は風太が居るし、充分でしょ?まぁ、父さん達がどうしてもって言うんなら、条件次第で考えなくもないけどね」 「・・・条件?」 「金と権力と顔よ」 「・・・・・・悪いことは言わないから、今すぐ考えを改めろ」 呆れたように圭太が忠告すれば、結婚しないからいいのよと智花が笑う。 「ともちゃん、おとこはかおじゃないぞ?」 軽口を叩き合う圭太達を見ていた風太が、真面目な顔で智花を諭す。 「よし風太、良く言った。もっと言ってやれ。因みに金や権力もあるに越したことはないが、程々が一番だからな」 「兄貴うるさい。結婚する気ないって言ってんでしょ?どうしてもって言うなら、そんくらいの男を用意しろって話なだけよ」 鬱陶しそうに眉を顰める智花を、圭太は複雑な思いで見つめた。 「・・・世の中、俺みたいな男ばかりじゃねぇぞ?それどころか、ちゃんとした奴の方が多いくらいだ」 「真面目な顔で諭してんじゃないわよ。別に兄貴だけのせいじゃないから、気にする必要はないわよ」 私の男を見る目がないのが、一番の原因だから。智花はバンバンと圭太の肩を叩きながらそう言った。
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