第5章

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「特に、今は父さんの体調も万全じゃないからさ、これ以上負担を掛けないで欲しいのよね」 圭太は、先ほど会話を交わした父親を思い浮かべ、怪訝な顔をした。 「元気そうに見えたが、違うのか?」 圭太の疑問に、智花はあーと声を上げて苦笑した。 「あれ、カラ元気だから。父さん、兄貴達が来る30分前まで、点滴して布団の上で唸ってたからね」 圭太は眉根を寄せ「おい」と低い声を上げた。 「そんな状態で出掛けさせたのか?車運転してたぞ?危ないじゃねぇか」 「言って聞く人じゃないのは兄貴だって知ってるでしょ?」 「そういう問題じゃねぇだろ」 その言葉に文句を言う圭太を遮る。 「大丈夫よ、母さんも付いてるし、父さんも可愛い孫乗せてるんだもの、無茶はしないわよ」 「車運転してる時点で無茶だろうが」 眦を釣り上げ怒りを露わにする圭太を、智花はじっと見つめた。その目に、圭太は我に返り「何だよ」と呟いた。 「いや、兄貴も父親なんだなって思ってね。沙織さんから色々話は聞いてたし、結婚してる時の風太に対する態度も見てたから・・・心配だったんだよね。もしかしたら、ネグレクトしてんじゃないかって・・・だから、真剣に怒る兄貴見て安心したよ」 智花はそう言うと、ニコリと笑った。
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