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「妹の尻拭いは、兄である圭太がするのは必然でしょ?」
「・・・尻拭いって」
勘弁してくれ。圭太心中で呟き、何とか逃げ切れる言い訳を探した。そんな圭太に、沙織は畳み掛けるように喋り出す。
「お願いよ、圭太。このままだと、食材が無駄になっちゃう。食べ物を粗末にしたらバチが当たるじゃない」
「大丈夫だ。朝だって、食べられるし、明日の夜だって、食べようと思えば食べられる。これで万事解決だ」
そう締め括り、沙織の手を腕から離そうとする。そんた圭太に、沙織が恨みがましく告げた。
「大根一本に白菜一玉。椎茸二パック、えのきに舞茸、ネギにしらたき、つくねと豚肉、エビにホタテに油揚げと豆腐。・・・絶対食べ切れないし、一人鍋なんて虚しいことしたくない」
「・・・お前、買い過ぎだ」
「だって、ともちゃん、本当に良く食べるんだもの 。それに、鍋なんて本当に久しぶりだから嬉しくて、一杯買っちゃったの」
仕方ないでしょと、沙織が眉尻を下げた。
「だから、ね?お願い。つれないこと言わないで、付き合ってよ」
ね?と懇願口調で請われ、圭太はシブシブ頷いた。
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