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「圭太が好きだから、奪い取るって戦線布告した」
「はっ?」
険しく眉根を寄せた圭太に、沙織はにじり寄る。
「圭太が好きなの。諦めたくないの」
「断ったはずだ」
「でも・・・あの男と別れたのでしょ?」
「なんで・・・」
驚きに目を見張った。
「ともちゃんから圭太の様子がおかしいって聞いてたんだ。今日会って分かった。この前会った時に感じた幸せなオーラって言うのかな、そういうのが失くなってた。・・・間違ってないよね?」
圭太は沙織から視線を外した。
「だとしても、お前には関係ない話だ」
「関係あるよ?私は圭太が好きだって言ったでしょ?」
「あいつと別れたからと言って、お前とどうこうなるつもりはない」
「どうして?」
気が付けば、沙織は圭太の真横に居て、圭太の太腿に手を添える。
「よせ」
圭太は振り払うように、その手を外した。
「99.9パーセントダメだとしても、残り僅かでも可能性があるなら、私は諦めないよ?」
「な、んで」
「後悔したくないから。前は変なプライドやら、どうしようもない状況から逃げられなくて、圭太から逃げたけど、ずっと後悔してたの。自分でもバカだと思うし、呆れちゃうんだけど、ね。だから、今度は失敗したくない。ほんの少しでも可能性があるなら、プライドなんて捨てて、形振り構わず、圭太に向かって行こうって決めてるから」
本気だから、諦めないの。強い決意を目に込めて沙織はそう言うと、じっと固まって動かない圭太の唇に自分の唇を重ね合わせた。
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