第5章

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「圭太が好きだから、奪い取るって戦線布告した」 「はっ?」 険しく眉根を寄せた圭太に、沙織はにじり寄る。 「圭太が好きなの。諦めたくないの」 「断ったはずだ」 「でも・・・あの男と別れたのでしょ?」 「なんで・・・」 驚きに目を見張った。 「ともちゃんから圭太の様子がおかしいって聞いてたんだ。今日会って分かった。この前会った時に感じた幸せなオーラって言うのかな、そういうのが失くなってた。・・・間違ってないよね?」 圭太は沙織から視線を外した。 「だとしても、お前には関係ない話だ」 「関係あるよ?私は圭太が好きだって言ったでしょ?」 「あいつと別れたからと言って、お前とどうこうなるつもりはない」 「どうして?」 気が付けば、沙織は圭太の真横に居て、圭太の太腿に手を添える。 「よせ」 圭太は振り払うように、その手を外した。 「99.9パーセントダメだとしても、残り僅かでも可能性があるなら、私は諦めないよ?」 「な、んで」 「後悔したくないから。前は変なプライドやら、どうしようもない状況から逃げられなくて、圭太から逃げたけど、ずっと後悔してたの。自分でもバカだと思うし、呆れちゃうんだけど、ね。だから、今度は失敗したくない。ほんの少しでも可能性があるなら、プライドなんて捨てて、形振り構わず、圭太に向かって行こうって決めてるから」 本気だから、諦めないの。強い決意を目に込めて沙織はそう言うと、じっと固まって動かない圭太の唇に自分の唇を重ね合わせた。
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