第5章

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「何って・・・世間的に?」 「世間的?」 「うん・・・」 じっと見つめる圭太に、智花は言葉を選ぶように暫く逡巡する。 「だってほら、父さん達にちゃんと紹介出来ないでしょ?付き合ってる人ですって、自分の彼氏ですって・・・出来るの?」 「・・・紹介」 「そう。それに、風太のこともあるでしょ?あの子になんて言うつもり?父親が二人になるからとでも説明するの?今はまだ小さいから分からないだろうけど、年頃になって色々分かって来たら、きっと悩むと思うよ?もしかしたら嫌悪感だって抱くかもしれない。・・・兄貴、耐えられるの?」 耐えられるか耐えられないかと言われたら、耐えられないだろう。例えば父親や母親が受け入れられず、侮蔑の視線を寄越したとしても、圭太は受け入れるつもりだ。 傷付かないと言えば嘘になるが、仕方ないと思い切ることが出来ない訳ではない。 でも、風太にそんな目をされたり、ましてや、それが原因で嫌われたりなどしたら・・・きっと、奈落の底の底まで落ち込んで、一生浮上出来ないような気がする。 誰よりも大切で、何よりも掛け替えのない存在だ。 風太と修也を天秤にかければ、比重は明らかに風太へと傾く。どうしたって、圭太の優先順位のトップに来るのは風太だった。 「・・・兄貴?」 智花は探るような眼差しで圭太を見ていた。
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