第5章

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隠し事や偽りなどなしに、本音をぶつけるんだ。それでも拒絶されたら・・・考えたくはないが、もし万が一拒絶されてしまったら、人をこれ程までに本気にさせておいて、ふざけんなって怒鳴って殴ってやろう。 修也が呆然とした顔で、殴られた頬を押さえる姿を想像して、クスリと笑う。 少し気分が浮上した。 「修也とのことの前に、風太だな」 他にも色々と遣らなけれればいけないことがある。 ーーでも先ずは、風太だ。 ずっと後回しにしていた。 修也とのことを、風太と話し合わなければならない。風太に真実を伝えるか否か・・・迷いはある。もう少し物事の分別を理解出来る年頃になってからでも遅くはないように思えた。 でも、風太にも隠し事はしたくない。出来うるのなら、真実を打ち明けたい。例え、そのことでいつか思い悩む時が来るとしても。 圭太は大きく息を吐き出し「よし」と自身を奮い立たせるように気合いを込めた。 食事を終えた後、どうやって風太に話をするか考えていると、神妙な顔をして風太が部屋に入って来た。圭太の目の前に正座し、真っ直ぐに視線を注いで来る。 「・・・風太?」 訝しげに首を傾けると「父ちゃんに、はなしがあるんだ」と、風太が真剣な眼差しで話を切り出した。
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